
タイトル: Il Candore della Camellia(椿の白さ)
素材:パネルキャンバス、MAZZI FINE ART オリジナル油彩、純金、銀彩、大理石
MAZZI FINE ARTオリジナルフレーム、イタリア製ストーン、メタル塗料とブラックパティナで仕上げ
キャンバスサイズ:W55cm×H55cm×4,5cm
フレームサイズ:W68xH68cm
IL CANDORE DELLA CAMELLIA
椿の白さ
《Il Candore della Camellia ― 椿の白さ》は、フランチェスコ・マッツィが、日本の冬が持つ深い静寂と、
その中に存在する対比の美しさを表現した作品です。
冬になると、自然はまるで深い眠りにつくかのように、盛んだった色彩を少しずつ失っていきます。
木々の葉は姿を消し、花も少なくなり、風景は限られた色と光の世界へと変わっていく。
だからこそ、その静かな世界の中に残された一つひとつの存在が、より深く、より美しく感じられます。
空から、雪がしんしんと降り続けています。
天空から舞いながら大地へと向かう雪は「動」の中にあり、
椿の花びらや枝、大地に触れた瞬間、その動きを止め、静かに積もっていく。
降り続ける雪の「動」と、積もった雪の「静」。
その二つが同じ時間の中に重なることで、この作品に独特の「冬の静寂」が生まれています。
その静寂の中に、鮮やかな赤い椿が咲いています。
そこへ雪が一片、また一片と降り積もる。
赤い花びらは、少しずつ雪の白に包まれていきます。
赤から、白へ。
動から、静へ。
その一瞬の移ろいこそが、この作品に描かれた冬の情景です。
雪の白、椿の赤、そして光
深い冬の夜。
作品の中には強い光はありません。
けれど、暗闇の中に存在するわずかな光を、雪の白さと輝きが受け止め、柔らかく周囲へと広げています。
そのほのかな光が、雪の中に咲く椿の赤を静かに浮かび上がらせる。
雪の白と、椿の赤。
冷たさと、温もり。
闇と、わずかな光。
それぞれが互いの存在を引き立て合うことで、冬の静かな風景に深さが生まれています。
雪は冷たいもの。
そして、その雪を静かに受け止めているのが、赤い椿です。
マッツィは、この作品についてこう語っています。
「一見すると繊細な椿が、実は夜と雪の重さを支えている。
闇、寒さ、吹雪、そしてすべてを包み込むように降り積もる雪。
そのすべてを、この椿が受け止めている。」
だから、この作品における椿は、単に雪景色の中に咲く花ではありません。
降り続ける雪を受け止め、少しずつ白に包まれていく。
その「椿の白さ」には、
降り続ける雪の「動」を受け止める静けさがあり、
冷たい雪を受け止めながら生まれる温もりがあり、
深い冬の闇の中で、わずかな光を受け止める輝きがあります。
動から、静へ。
冷たさから、温もりへ。
闇から、輝きへ。
赤から、白へ。
相反するものすべてを受け止めながら、雪の中に静かに咲き続ける椿。
自然の多くが眠りについたように静まる冬だからこそ、その存在はより深く、より美しく心に残ります。
華やかさではなく、限られたものの中に存在する美しさ。
それが、この作品に描かれた日本の冬ならではの情景です。
イタリア人アーティストが見つめた、日本の冬
《Il Candore della Camellia》は、「イタリア人アーティストが描く、日本の四季」というテーマのもと、京都・二条城を舞台としたアートフェアの特別プロジェクトから生まれた「春・夏・秋・冬」四連作の一つです。
長い年月を日本で暮らしてきたマッツィが向き合ったのは、単に日本の風景を描くことではありませんでした。
日本に暮らしていると、四季が巡ることも、桜が咲くことも、木々が色づくことも、雪が景色を白く包むことも、いつしか当たり前のものになっていきます。
けれど、異なる文化に生まれ、日本を愛し、この国で生きてきた一人のイタリア人の眼を通すことで、その「当たり前」の中に存在していた美しさが、もう一度、新しい姿で浮かび上がってきます。
自然の多くが眠りにつく冬。
色も光も少なくなった静寂の中で、それでも鮮やかに咲き、降り続ける雪を静かに受け止める赤い椿。
華やかさではなく、限られたものの中にこそ現れる美しさ。
そして、繊細に見えるものの中に宿る、静かな強さ。
雪の白に包まれながらも、その存在を失わず、冬の闇の中に静かに咲き続ける椿。
その一瞬の美しさを、一つの作品の中に残したもの。
それが、Il Candore della Camellia ― 椿の白さです。